マツダ宇品工場事件に対する緊急アピール
広島連帯ユニオン
6月22日の朝、マツダ宇品・本社工場内で労働者11名が暴走車にはねられ、うち39歳の労働者(正社員)が死亡するという事件が発生した。この事件をめぐって、容疑者がマツダ工場で働いていた42歳の非正規雇用労働者(期間工)であったことから「会社への恨み」という報道が行われている。マツダ車のファミリアを暴走させた彼は「秋葉原事件のようにやるつもりだった」と言っている。これは“工場での秋葉原事件”そのものだ。彼を事件に駆り立てた怒りは単に個人的なものではない。事件は労働者が本来は団結するべき工場内で起こっているのだ。国鉄分割・民営化以来の新自由主義政策の下で期間工と正社員に分断され、徹底した団結解体の中で生み出された絶望的な怒りの爆発だった。
この怒りは労働者に一切の犠牲を強いて生き残りを図る自動車資本(マツダ)とそれと結託している連合・自動車総連(マツダ労組)という御用組合へむけられたものに他ならない。私たちは09年「派遣切り」以来、マツダ工場での労働者の団結を訴えてきた合同労組として、改めて正規・非正規職の分断をのり越えて、職場で団結をつくりだし、たたかう労働組合をよみがえらせることを訴える。
世界は大恐慌に突入し、資本主義体制が崩壊の危機に直面している。各国政府は史上かつてない危機ののりきりをかけて、天文学的な公的資金を投入し、国債を乱発して資本を救済し、資本主義体制を何とか取り繕うために躍起になってきた。その中心が自動車産業だ。自動車資本は、「派遣切り」を容赦なく断行して何百万という労働者を路頭に放り出した。その一方で労働者から搾り取った血税を自動車産業に注ぎ込み、さらに“エコ・カー減税”というペテンで自動車産業を救済してきたのだ。それが「景気回復」なるものの正体だ。資本は雇用調整金を政府から受け取りながら、他方で労働者を切り捨て生き延びてきたのである。
職場では、解雇・要員削減と過重労働が強制され、会社のためにガマンして働け!とマツダ資本とその手先である御用組合(マツダ労組)が結託して労働者の怒りを抑えつけてきたのだ。今回の事件は、この抑圧体制が崩壊したことを劇的に示している。
では、労働者の怒りはどこへむかうべきなのか。それは「(一社員ではなく)社長をやればよかった」ということなのか?いやちがう労働者は怒りを燃やして起ちあがり、隣の働く仲間と団結して、職場にたたかう労働組合をつくり、資本と非和解でたたかうべきなのだ。この『あたりまえの労働組合』の中に労働者の生きる希望と未来への展望がある。資本の生き残りのために政府中枢に入り労働者によりいっそうの矛盾の集中(解雇・増税)を強制し、たたかう労働組合に襲いかかってくる連合の幹部どもをブッ倒して、職場にたたかう労働組合をよみがえらせよう!
菅政権―民主党・連合政権が、大リストラと首切り・増税の反動政権であることは今や誰の目にも明らかだ。JALや社会保険庁労働者の大量解雇を皮切りに、公務員制度改革―道州制で360万人の首切りを強行しようとしている。この張本人こそ自動車総連(全トヨタ労連)出身の連合幹部・直嶋正行(通産相)だ。絶対に許してはならない!
中国では、ホンダやトヨタをはじめ自動車工場で、低賃金と格差に反対して10代や20代の青年労働者が起ちあがり、御用労組(総工会)をブッとばして、ストライキで工場を占拠し、操業を止めてたたかっている。日本でも状況は全く同じだ。青年労働者の皆さん!私たちと共に資本とたたかい、中国やブラジル、全世界の労働者階級と連帯し団結して、人間らしく生きられる未来を切り拓こう!
社会の主人公である労働者を犠牲にしなければ成り立たない資本主義はもう終わっている。その枠内で選挙や救済を求めても何も変わらない。今こそ、資本への怒りを団結の力に変えて、たたかう労働組合を職場・地域につくりだし、労働者の手で社会を動かしていこう。
労働者の非正規職化の始まりであり、労働者が働いても生きていけない状況を生み出した国鉄分割・民営化に反対し、24年間、不屈に解雇撤回を求めてたたかってきたJR(国鉄)の労働組合―動労千葉や国労のたたかう仲間が、新たな全国運動を呼びかけて全世界の労働者の共感と賛同を受けてたたかいを開始している。このたたかいの中にこそ労働者、とりわけ青年労働者の生きる道がある。この道を共に進もう!
(2010年6月23日)