11月5日広島県環境保健協会との団体交渉を行いました。
F組合員は契約職員という非正規職労働者ですが、吉島分室・材料試験室で試験業務に長年携わるベテランの労働者です。6月に職場での業務分担の変更があり、それまで契約職員2名での業務だったのが正規職員とF組合員の2名での業務に変更になりました。
ところが、実際には正規職員の人は他の業務に忙殺されほとんど試験業務に携わることができず、Fさんがほとんど1人で業務を回さなければならない状況になっています。また、「ここからここまではFさんの業務」として決められた分担が現場できちんとした説明もなく一方的に変更されるということが続いています。
組合は、1番の問題点は、そもそも業務の分担について実際に仕事を担っているFさんの意見などを聞くことなく一方的に決められていること、こうした姿勢は非正規労働者を軽く見ている協会の姿勢の問題であると考え、環境保健協会に①2名体制をきちんと保障すること、②当該試験業務の業務分担について話し合う場を持つことを要求書で提出し、団体交渉を行いました。
団交の場では、F組合員からこの間問題になっている現状を具体的に暴露しました。交渉を通して協会本部は一般的にコミュニケーションができているか、ミーティングを開催しているかということを分室に確認しているにとどまっていることがはっきりしました。組合は具体的な試験業務で具体的に問題が起きているのだから、ひとまずこの具体的問題で業務分担を検討するためにFさんを入れた課内ミーティングの開催を要求しました。協会側は検討し、回答することを約束しました。
仕事の上での非正規への差別は変えられる
こうした「非正規労働者が不当に軽く扱われている」「差別されている」状況はどこの職場でも多くあるのではないでしょうか?
もちろんどこの職場でも「非正規労働者を軽く扱っていい」と明文化しているところはほとんどないでしょう。今回の団交でも「非正規だから業務分担を決める場に参加させる必要はないと協会として考えているのか」という組合側の問いかけに対して、協会側はそんなことはないと否定しました。
しかし、実際には非正規労働者が「非正規だから」ということで仕事の上で軽く扱われたり、見下されたりするということは多くの職場で起こっています。
昨年「働き方改革」のなかで「同一労働同一賃金」ということが出され、正規職と非正規職の待遇差について合理的な理由が必要とされるようになりました。しかしその結果多くの職場で、非正規労働者の低い待遇を正当化するために、あえて非正規労働者の仕事を単純化・陳腐化したり、これまでやれていた仕事を「やらなくていい」としたりすることが起きています。こうした中でますます非正規労働者が仕事の上で差別されるということが起きています。
しかし、実際にその仕事ができる労働者をその仕事から排除したり、実際に携わっている業務についての職場会議から排除したりするのは別の意味で「不合理」であり、どんな企業でもこうした不合理を正面から正当化することは難しく、ここは向こうの弱点になりうるということです。今回の団交で、こうした「不合理」をついてたたかうことで非正規労働者の職場における「低い扱い」を変えていくことはできるということを感じました。
非正規職撤廃のたたかいは、非正規労働者の待遇の低さそのものとたたかうと同時に、こうした非正規労働者に対する仕事上の差別ともたたかうことであると思います。
同じような状況にある全ての非正規労働者に是非ユニオンに加入して一緒にたたかうことを呼びかけます。