労働委員会ー裁判で組合の取り組みは正当と認定
■組合員らによる人事考課表等の不提出は、組合活動として正当な目的の範囲内にあると認められる。〔広島高裁判決〕
■被控訴人(組合が)人事考課の提出を拒否することは労働組合の正当な行為〔労働組合法7条1号〕にあたるということができる。〔東京高裁判決〕
その後、経営側が2つ裁判の最高裁への上告を断念し、ついに組合側の正当性を示す判決が確定したのです。
人事考課による2段階引き下げ規定は違法! 今すぐ撤廃を!
草津病院の人事考課制度、とりわけ「評価シート提出拒否(人事考課非協力)」に対して無条件に評価を2段階引き下げる(最低評価Dに落とす)ことが、労働組合法違反の違法行為であると、最終的に確定しました。
広島高裁は違法行為で不利益を被った組合員に対して、未払い賃金の支払いを命じました。そして経営側は今日までに、訴訟を起こしたすべての組合員に賃金差額分を全額支払ったのです。
経営側・理事会は、団体交渉などで「組合と経営のどちらが正しいか否かは、裁判所で決まる」といつも言っていました。しかし、理事会の主張は何一つ正当とは認められず、組合の主張の大半は認められました。
草津病院は、違法状態を一刻も早く解消し、今月分から正当な賃金を組合員に支払うべきです。職場の仲間・組合の仲間の団結、組合員があきらめることなく、経営の圧力に屈ぜずに、職場で働き続け、粘り強く取り組みを続けたことで草津病院の違法行為が明らかにされました。これは『人事考課制度はいらない!』という組合の主張に共感し、ともに憤っている、すべての職場の仲間に希望と元気を与える勝利判決です。
労働組合に加入して安全で働きやすい職場にしよう
人格を否定されるような理不尽な面談や何回もの目標見直し、心が折れそうになるような目に会いながら、結局、出されてきた人事考課の評価は承服できない!というすべての職員は、一度、組合に相談して下さい!「おかしいことはおかしい」と組合とともに声をあげていきましょう。
組合は、2段階引き下げ規程で定年・再雇用を拒否された組合員の解雇を今すぐに撤回し、職場に戻すよう経営側に求めます。また、病院は再雇用拒否により生起した一切の不利益を補償をするべきです!
【東京高裁 判決文より抜粋】
〔再雇用拒否は違法という中央労働委員会命令を取り消すように草津病院経営側が求めた裁判の控訴審での判決〕※( )は引用者注
▲組合の人事考課表等の提出拒否活動の目的は、人事考課制度によって、職場内に競争原理が持ち込まれることにより労働者間の相互扶助が失われるなどして職場環境を悪化せ、その競争で不利な立場に陥った労働者が人事上の不利益を受けることや、過重労働を誘発させるおそれがあることからこれに反対し、労働者の基本的な労働条件の改善、維持を図るという点にあると認められる…組合員らによる人事考課表等の不提出は、組合活動として正当な目的の範囲内にあると認められる
▲病院は、人事考課制度を巡って労使間の対立が深刻化している状況において…組合員らによる人事考課制度反対活動の一環である人事考課表等の提出拒否を契機として、人事考課表等の提出拒否者に対して人事評価の最終評価ランクを一律に2段階引き下げる旨の制裁措置を、内部の規程等の変更も経ない個別の措置として直ちに決定し…草津病院内で周知…その後、人事考課規程を改定し、上記制裁措置と同内容を含む本件規程を設けた。さらに、本件規程の制定後直ちに本件規程を人事考課表等の提出を拒否した組合員に対して適用して再雇用を拒否した…ことが認められる。
▲再雇用基準における「定年退職前1年間の2回の賞与評価において、いずれかが標準以上の者」という基準を満たすことがおよそ困難となり、事実上再雇用が困難となるという雇用関係上の重大な不利益を被ることになることが認められるから、本規程と再雇用基準中の評価に係る基準とは連動しているものと認められる。
【広島高裁 判決文より抜粋】
〔違法な人事考課規程によって不利益(賃金カット)を受けた分の賃金の損害賠償を組合が求めた裁判の控訴審〕※( )は引用者注 〔 〕は原文注
▲組合が、人事考課制度に反対する目的は、…人事考課制度による職場環境の悪化を防止することで労働者の基本的な労働条件の改善維持を図るというものであり、使用者側の考慮と異なる価値観に立つものではあるが、そのような観点から本件組合のような目的を掲げてする活動が労働組合として正当な目的の範疇に含まれないとまではいうことができない。
▲(人事考課表提出拒否は)人事考課制度の運営や実施を阻害するものとは認められず、社会的相当性を逸脱するものとまではいえない。したがって、被控訴人(組合が)人事考課の提出を拒否することは労働組合の正当な行為〔労働組合法7条1号〕にあたるということができる。
▲2段階引き下げにおける引き下げ幅が5段階評価において2段階引き下げるという大幅な引き下げであること、人事考課における評価ランクの低下が賃金・賞与などの重要な労働条件や再雇用など、雇用関係上の重大な不利益を生じさせるものであることからすれば、その主旨・目的に照らし手段としての相当性を著しく欠き、控訴人(経営側)の裁量を逸脱するものといわざるを得ない。
▲控訴人(経営側)による被控訴人 A(組合員)の評価が公平・適正になされたものとは認められず、控訴人による評価は不当労働行為に該当し、その裁量を逸脱するものといわざるを得ない。したがって、控訴人(経営側)の…主張は理由がない。
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