2013/05/08

国際研修協力機構(JITCO=ジツコ)広島駐在事務所へ外国人研修制度廃止を求めて申し入れ

 本年のメーデーでは、4・21入管法・外登法と民族差別を撃つ関西交流集会での確認を受けて、広島連帯ユニオンで、JITCO(国際研修協力機構=ジツコ)広島駐在事務所への申し入れを行いました。
 外国人研修(技能実習)制度、絶対反対!即時廃止!の立場での申し入れは、「全国でも初めてだ」とジツコは言っていました。
 
 2名の応対者(養学所長と入管事務掌管・大塚副主任相談員)は「このような”非日常の事態”には広島では対応できない」「ジツコとしての返答をする(かどうか)は、中央に判断を仰ぐ」「申し入れは、制度そのものの是非を問うておられるので個人的見解は差し控えたい」という対応でした。
 組合員からは、「あなたたちは、江田島の中国人労働者の実態を知っていたはずだ。それで今回の事件に対して、どう考えるのか。明らかにすべきだ。」「ジツコの活動そのものが今回の事件を引き起こしたのだ。即刻、外国人研修制度は止めるべきだ。」という腹の底からの怒りがぶつけられました。
 また、青年部からは、「江田島の中国人労働者の月給13万円、そして最後に手にしていた5万円というのは、非正規雇用で働き、組合活動をやり、仕事を干されている今の私の待遇と全く同じだ。非正規の青年と外国人を食い物にする資本と一体になっているジツコに対して怒りを覚える。今すぐ外国人研修制度は廃止すべきだ。全ての非正規職をなくしていかなければ。そのためにジツコが業務をやめるように要求する。」との声も叩きつけられました。
 ジツコ側は「申し入れの件は本部に報告して検討したい。」と申入書を受取りました。

【申入書】
                                 2013年5月1日

公益財団法人 国際研修協力機構(JITCO) 御中
                 会長        様
                 理事長       様
            広島駐在事務所 所長     様

 「3・14広島・江田島事件」を受けての申し入れ
                            広島連帯ユニオン
                              執行委員長 鈴木 範雄
 
 私たちは、地域合同労働組合 広島連帯ユニオンです。
 労働組合として、『外国人研修制度絶対反対・外国人研修制度は廃止するべきである』との立場から、以下、貴財団に対して申し入れを行います。
 申し入れを行う理由は、貴財団が、外国人の「研修・技能実習」制度の実務の一切を国から任されている政府5省共管の公益財団法人であり、実際に外国人を渡航させ、労働させる「実務機関」であるからです。とくに教育や労災、事故についても貴財団が大きく関与しているからです。

(1)
 本年3月14日に広島県・江田島で発生した中国人研修生による痛ましい事件の発生に怒りを抑えることができません。
 地域合同労組である私たちは、最近数年間に限っても多くの外国人労働者やその受け入れ先(日本側)企業で働く仲間から、外国人研修制度の現状を伝え聞き、また実際に団体交渉を行う中で、その問題点を把握するに至りました。
 報道によれば、事故の当該となった労働者は、自らと家族の生存のために中国から「研修・技能実習制度」を通じて渡航し、カキ養殖会社で労働をさせられていました。しかし、その実態は、「実習」などではなく、「使い捨て労働」そのもの、劣悪極まりないものでした。
 実際、月給は13万円。ここから食事代、寮費、手数料を引かれて手取り5万円以下でした。寝る場所は倉庫の隅、相談できる仲間もなく孤立し、耐え難い仕打ちに対する怒りが爆発したのです。
 それだけではなく、この「研修・技能実習」制度は中国の「送り出し会社」で多額の費用を払わされた上に、日本の会社に文句を言ってはいけない、労働組合に入ってはいけない、賃金は3年後にしか払われないことを承認しろ、などという労働者を人とも思わないような「誓約」を課せられていたのです。
 このように、「誓約」でがんじがらめにしておいて、職場の仲間との団結を破壊し、地元の労働者との分断を強制して「中国の家族のためにガマンしろ!」と労働者の誇りを奪い、「使い捨て」の低賃金労働を強いて、まさに「奴隷労働」をさせていたのです。これこそ「研修・技能実習」制度の実態です。

(2)
 本当にこれが『国際交流』『国際援助』でしょうか?本当に腹の底からの怒りが湧いてきます。隣で働く同じ労働者として、今の日本の非正規職労働者の扱いと通底するものがあります。
 私たち広島連帯ユニオンは、去る2006年3月、当時、ひろしま交流協同組合で働いていた組合員から、中国人女性労働者を「カキ打ち」で、時給300円という「低賃金」で働かせていた実態を詳細につかんでいました。現在、その当時と何ら変わらない、いやむしろ、より苛酷な状況になっています。その組合員は、当時の制度でも存在してはならない「ブローカー」(中間搾取団体)の指示で、違法行為を強制させられそうになり組合に加入して闘い、未払い残業代を全額、ひろしま交流協同組合に支払わせました。
 政府・入管当局、県知事、労働基準監督署、協同組合、受け入れ会社をはじめ現場労働者も、こうした実態を知っていながら、促進してきました。湯崎広島県知事は「中国人労働者なしには事業は成り立たない。引き続き(広島に)来ていただきたい」などと事件後も平然と言っています。怒りに耐えません。

(3)
 私たちは、今回のこの事件・事例が「一部の限られた例」「特別なケース」とは考えていません。この江田島の実態こそ今、政府・安倍内閣が進める『10割非正規化・解雇自由』『雇用の流動性』そのものであり、経済界が世界の全ての労働者に強制しようとしている攻撃の中身そのものだと断定しています。
 したがって、江田島の中国人労働者の怒り・無念は、私たち広島の労働者の怒りそのものであり、とりわけ、非正規職で「雇い止め」=解雇と闘っている全ての青年労働者の怒りとひとつです。

(4)
 3月14日の事件こそ、昨年7月の入管法改悪=在留カード制度導入の真の狙いを明らかにしています。
 劣悪極まりない非正規労働にアジアから労働者を動員して使い捨てにすることは、国内における10割非正規職化攻撃と一体で、その最先端の攻撃です。
 同時に、外国人労働者を使い捨てにしておきながら、一方では監視と抑圧を強化して、日本政府にとって都合が悪い外国人は、入国不許可・国外退去にしていくものです。これは、破たんした新自由主義(最末期の資本主義)の下での日本の支配層の生き残りをかけた攻撃であり、日本の労働者を10割非正規・首切り自由にしていくテコに入管体制の再編が位置づけられていることを明らかにしています。
 「在留カード」制度は、外国人労働者との団結を解体する分断・監視体制そのものであり、徹底的に弾劾します。
 日本国内においては、入管法の治安弾圧条項を残し、外登法を廃止して法務省入管局による外国人一元管理・弾圧強化を狙っています。さらに在留資格の再編・細分化によっても分断を強めています。入管局は「在留カード」導入直後から「不法就労」を口実に外国人の摘発・逮捕をくり返し収容所へ収監しています。絶対に許すことはできません。
 「研修・技能実習」制度は、このような「在留カード」を使った外国人の管理・支配の制度と表裏一体の制度です。絶対に廃止していかなければならないものです。

 「江田島事件」では、労働組合の姿は、全く見えません。私たち合同労組もこの点については、絶対に曖昧にはできません。職場に国境を超えた中日労働者の団結があれば、今回のような事態は避けられました。
 労働現場で、労働者同士を分断する「研修・技能実習」制度は、どのように運用しても、分断と差別を生み出すもの以外の何ものにもなりえません。今こそ、全ての労働者の寄る辺となる労働組合が職場に必要です。

(5)
 貴財団の業務一切は、外国人労働者を使い捨てにすることに繋がっています。今すぐに、外国人研修制度を廃止することです。
 真に国境を超えた労働者同士の国際連帯をつくりだそう。そのためにも、共に団結して全ての職場に闘う団結をとりもどしましょう!

 以上、申し入れます。


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