2011/12/19

呉市交通局廃止条例に抗議し、解雇撤回・民営化阻止へ闘い抜く

※12月16日、呉市交通局支部が発表した「声明」を掲載します。


声 明

呉市交通局廃止条例に抗議し、解雇撤回・民営化阻止へ闘い抜く

広島連帯ユニオン・呉市交通局支部


(1)本日の呉市議会本会議において、交通局廃止条例の採決が、まともな審議もされず強行された。呉市交通局の廃止=民営化は、小村和年・呉市長と結託した広電資本による市営バスの私物化・略奪である。私たちは民営化絶対反対を貫き、市営バス廃止・民営化阻止へとことん闘い抜くことを宣言する。


(2)そもそも、70年続いてきた呉市営バスを廃止するなどという「合意」が、呉市民の間で、いつどこでなされたというのか。地域のかけがえのない足であり、市民の共有財産である市営バスを広電という一私企業に、タダどころか数十億円ものカネ(市民の血税だ!)を付けて投げ与えるなどということが、どうして許されるのか。明らかになった民営化にかかわる費用は、まさに「広電利権」と呼ぶほかはない。広電資本にバスも設備も全部タダで渡し、バスの車体の塗り替え(費用2億円!)までやってあげ、毎年4億2000万円の補助金など数十億円もの市民の血税が支給されるのだ。


(3)一方で多数の交通局職員の首が切られ、広電に移る労働者も賃金を大幅にカットされ、住宅ローンなどを抱えながら年収がいきなり半分、あるいは3分の1になる人もいる。労働者の首を切り、賃金を激減させ、さらに血税で企業のもうけを保障する――これが「民営化」の正体だ。そして、もうけ(そもそも公共交通で「もうけ」を出すというのはもってのほかだ!)が出なくなれば路線も縮小・廃止されるのは明らかである。事実、2年後には、広電が路線を縮小・廃止するのは自由だと、市当局は答弁している。民営化の一切の甘い汁はすべて資本が吸い取り、一切の犠牲は労働者と地域住民に押しつけられるのだ。


(4)民営化にあたってはつねに「公務員は給料が高すぎる」「身分が保障されすぎている」などという宣伝が行われてきた。だがこうやって労働者同士を敵対させ、けおとしあいをさせて、笑っているのは誰か。「1%」の資本家、経営者たちだ。 「赤字なら労働者は首を切られても、賃下げされても当然。増税も年金カットも当然。しかし資本家のもうけにだけは絶対に手を出してはいけない!」―これが破産した資本主義を守ろうとする大阪の橋下市長や、彼と考え方を同じくする呉の小村市長らの言いぶんだ。これが「新自由主義」といわれるものだ。このような労働者だけに犠牲を押しつける政治、経済、社会のあり方を根本から変えなければならない。


(5)そもそも今日のような1%だけがもうけ、99%が貧しくなるとんでもない格差社会は、どうやってつくられたのか。非正規の低賃金労働ばかりの青年の状況、地域の崩壊や社会保障の解体、そして安全の崩壊はどうやって進んできたのか。民営化による公的部門の解体、規制の撤廃、労働組合の破壊によってだ。その突破口は、国鉄分割・民営化だった。そして社会保険庁の解体と525人の分限免職は、本格的な公務員労働者の大量解雇、非正規化に道を開くものであった。今回の呉市営バスの民営化は、これに続くものである。 民営化で職場そのものをいったんなくし、選別して再雇用するというやり方は、国鉄や社保庁と同じだが、誰を雇うかはまったく会社の勝手で、賃金・雇用条件も従来の水準を一切無視し、全員を新規採用の賃金にまで切り下げるなどというのは、これまでにない。こんな攻撃を許すなら、360万の全公務員をはじめすべての労働者にもっと激しい解雇・賃下げの攻撃がやってくるのは明らかだ。呉市営バス民営化阻止、解雇撤回の闘いは、官民問わず全労働者の利害がかかった闘いである。


(6)民営化は現場の労働者が反対して闘うかぎりできない。これまで民営化が進んできたのは、腐った労働組合幹部が全面協力し、労働者を売り渡してきたからだ。連合傘下の都市交・呉公営交通労働組合の幹部らは、当局と民営化に協力する「協定書」を結んでおきながら、「呉市の場合は最悪の結果となった」などと人ごとのようにうそぶいている(都市交中国・九州地本の大庭委員長)。そして再就職先が決まっていない56人について「何らかの形ででも新たなスタートが切れるように願うばかりだ」とまったく無責任な言辞を吐いている(同)。こういう組合幹部たちが当局や資本に屈服し、その手先になることで、民営化、解雇、外注化、非正規化などがやりたい放題にやられ、労働者はどん底に落とされてきたのだ。 もうがまんできない。今こそ労働組合を闘う現場労働者の手にとりもどすときだ。職場に解雇撤回・民営化絶対反対で闘う団結ができたとき、小村市長の民営化計画などあっというまに吹き飛ぶのだ。


(7)民営化はすでに破たんし始めている。あまりにひどい条件の広電行きを拒否する労働者が続出し、4月以降の路線等の維持が困難になっている。小村市長、市交通局当局、広電資本はあわてふためき、交通局の現役労働者を切っておきながら、運転士の新規募集まで行ってきた。それでもなお50人以上が不足し、減便等は不可避といわれる。だが、「現在の路線等を移譲する(そのまま移す)」というのが、昨年12月に呉市と広電が結んだ基本協定の中身なのだ。路線、便数等を勝手に変更・縮小することは、認められない。 そこで市は「事業廃止」を申請し、広電が呉で「新たに事業を開始する」という方式に切りかえている。これだと広電はこれまでの路線等を引き継ぐことなく、まったく新たなダイヤを組めるのだ。広電への交通局職員の個人情報の勝手な提供(個人情報保護違反)などデタラメばかりをやってきた民営化だが、これはきわめつけの大ペテンだ。


(8)以上のように、民営化は白紙撤回以外にない。 今全世界で新自由主義に対する闘いが始まっている。エジプトで、アメリカで、ヨーロッパで、中国で、韓国で。そして日本においても福島原発事故との非和解の闘いを先頭に、国鉄で、自治体で、郵政で、教育現場で、医療の現場で、新自由主義・非正規化との激しい闘いが繰り広げられている。呉市交通局民営化反対の闘いは世界で、日本で闘われている闘いとひとつ、新自由主義だ。 広島連帯ユニオン・呉市交通局支部は、今年8月結成以来の闘いの中で職場に団結を作り出し、勝利の展望を確実に切り開いて来た。本当の勝負はこれからである。闘いの勝利の道は、職場で団結を取り戻すことである。その闘いはすでに開始されている。職場に労働組合をよみがえらせ、すでに破たんしている呉市交通局の民営化に最後の止めを刺すために、不当な分限免職を差し止める訴訟もふくめ、あらゆる手段を講じて闘うことを宣言する。交通局労働者と呉市民の団結で、小村市長と広電資本による首切りと地域破壊の民営化を必ず阻止しよう。
                                   2011年12月16日                      

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