2015/10/22

「がん検診の見直し」は社会保障の切り捨てだ|推進機構支部

「がん検診の見直し」は社会保障の切り捨てだ
人員削減・外注化に絶対反対の路線でたたかう労働組合をつくろう

『労働組合を強くする会ニュース』No.2
2015年10月22日発行

機構は「がん健診の見直し」に対する方針を明らかにすべき

9月29日、厚生労働省の「がん検診のあり方に関する検討会」が「中間報告書」を発表しました。内容はおおざっぱに言うと胃がん検診をこれまでの「40歳以上、毎年実施」から「50歳以上、隔年実施」に、乳がんはこれまでの「視触診+マンモグラフィー」から「マンモグラフィーのみ」にしていくことを答申しています。また、市町村実施のがん検診だけでなく「職域(協会けんぽなど)」の実施する健診でもこの答申に沿うことを「期待する」と述べています。
 この内容について会社の中では一部の課では回覧が周っていますが、全体には周知されていません。話を聞いて職員やバイトさんの中では「今後経営状況が悪化するのではないか」「人員の削減になるのではないか」といった噂が流れています。すでに新車の検診車の購入を見送ったという話も聞こえています。
 まず第一に問題なのはこういう重要なことが全体にきちんと周知されず、経営幹部の中だけで方針が議論され、一部の課だけ、しかも小出しにするように情報が出されているということです。ほとんどのことが「噂レベル」でしか周知されていないというのは問題です。機構当局は現場で働いて仕事を回している労働者一人一人のことを何だと思っているのでしょうか?
 この問題は推進機構の労働者全員にとって自分たちの労働条件に関わる大問題です。今後職員の「合理化」=人員削減・外注化などが狙われていく可能性があります。こういう問題こそ労働組合で取り組むべき重要な課題です。

社会保障としての健診の切り捨て

今回の「がん健診の見直し」の出発点となっているのが安倍政権が進めている「税と社会保障の一体改革」です。国は、「みなさんが病気になったときのため、老後のため」といって給料から健康保険や年金保険を天引きしてきたのに、そうした労働者が高齢者になると今度は「少子高齢化で財政を圧迫している」と騒ぎ、増税して年金や医療を切り捨てようとしています。(はっきりいって国家をあげたサギ行為と言ってもいいぐらいです。)今回のがん健診の見直しも大きくはこの「税と社会保障の一体改革」の動きの中で起きていることです。
 この中で、今年6月、厚生労働省がん対策推進協議会が「今後のがん対策の方向性について」という文書を出しました。その中では、「将来にわたって持続可能ながん対策の実現」として、国の社会保障切り捨ての一環として「がん健診の見直しが必要」ということが打ち出されています。(以下引用)
「医療経済的な観点からは、平成24年度の国民医療費は39.2兆円であり、がんを含む新生物については3.8兆円と、年々増加傾向にあり、がん患者が質の高い医療を受けることができる体制を整備しつつ、効率的に医療を提供することが重要である。がんの予防や早期発見、がん治療等を推進するに当たって有効性や安全性の観点はもとより、費用対効果の観点から政策の検証を実施していくことも必要である」(厚生労働省がん対策推進協議会「今後のがん対策の方向性について」2015年6月10日 )
 「効率的」「費用対効果」の観点から「政策を検証する」とは、健診を受ける住民にとって必要かどうかということではなく、「国家財政を圧迫するから」ということを理由に切り捨てようとしているということです。

カネもうけ主義で医療・健診を食い物に

戦後、憲法で規定された「生存権」を保障する行政施策の一環として住民健診は位置付けられてきました。しかし、国鉄分割・民営化に始まる「カネもうけ第一」の新自由主義政策の導入以来、社会保障としての医療や健診は解体させられてきました。それでも、タテマエ上「医療の世界はカネもうけ主義でやってはいけない」とされてきました。
 しかし、安倍政権はその最後のタテマエも取っ払い、危機にあえぐ資本主義の最後の生き残り策として医療・介護・健診分野を「成長戦略」と位置付け、「もうかるところは金もうけ主義で、もうからないところは切り捨てる」という考えで医療・介護・健診分野を資本の食い物にしようとたくらんでいるのです。9月16日に成立した改悪医療法でついに持ち株会社方式による病院経営を合法化したことはその一環です。
 国鉄の民営化がJR での事故激発と不採算路線切り捨てを生み出しているように、新自由主義のこのやりかたは社会を社会として成り立たなくさせ、崩壊させるものです。
 そして、一番重要なことはこうした矛盾の全ては、結局医療や健診に携わる現場労働者に対して人員削減や外注化で仕事を奪い、労働条件を破壊する攻撃として襲いかかってくるということです。

人員削減・外注化に絶対反対で立ち向かえる労働組合を 

動労千葉(国鉄千葉動力車労働組合)が国が決めた国鉄分割・民営化に対して絶対反対でストライキで闘い、労働組合の団結を守り、労働者の誇りと職場を守り抜いたように、推進機構労働組合も人員削減・外注化に絶対反対で闘う労働組合に変えなけれならないと思います。
 当局は国の「がん健診の見直し」についての機構としての方針を明らかにしろ!
 そしてみんなで仕事と労働条件を保障しろと要求しましょう!

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