山本志都弁護士の講演録をもとに学習
評価制度とたたかって勝利した草津病院支部からの報告
広島連帯ユニオン主催「働く仲間の学習講座」の第1回として、『「同一労働・同一賃金」「働き方改革」について知る』を開催しました。「同一労働・同一賃金」を安倍政権の「働き方改革」の総非正規職化の攻撃としてとらえ、労働者がひとつに団結して20春闘を闘う第一歩になりました。
『月刊労働運動』から学ぶ「同一労働・同一賃金」~評価制度による格差の容認・固定化
最初に、『月刊労働運動』2019年11月号に連載された、山本志都弁護士の講演「働き方改革とは何か」(後半の1)を、宮原亮委員長の解説を交えながら読み合わせをしました。
・りそなグループの人事制度について、基本給は同じグレードならパートも正社員も同じだが、賞与などは格差賃金、非正規職も含めて評価でバラバラにしていく
・クレディセゾンの役割等級制度でも、正規も非正規も5段階等級で評価する
・厚労省の「同一労働同一賃金ガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190591.html)では、研修を受けさせる人と受けさせない人という仕組みを作っておけば差別でなないと、どうやったら同一賃金にしなくても済むかを指南している
「わが国から『非正規』という言葉を一掃する」と言うのが、「同一労働同一賃金ガイドライン」の目的にあげられています。非正規労働者を一層するとは言わない。「正規」があるから「非正規」がある、「正規」をなくすれば「非正規」はなくなる。これが安倍政権のすすめる「同一労働同一賃金」です。
・トヨタでは、「終身雇用制はもう維持できない」「正規や非正規ではない多様なコースがある」と社長が言っている。
・日本郵政では、正社員5000人の住宅手当を廃止、年に30万円の減収になる。「正社員の労働条件は既得権益ではない」と言って、非正規を良くするのではなく正規の待遇を下げることで合わせていく。しかも「格差是正の意図はない」住宅手当は不必要と考えたと。
労働組合は労働者間の分断を許さない立場から評価制度に反対してきました。これを全面的に否定するのが「同一労働・同一賃金」だと、山本志都弁護士は断じています。労働組合の存在意義が問われています。「働き方改革」との闘いを通して労働組合を蘇らせることが大事です。
経団連は2020年経労委報告で、日本型雇用システムの見直し、労働市場の流動化、自動昇給から評価制度による査定昇給へ、ジョブ型ー職務内容、市場価値で決定・・・、を打ち出しています。改めて「働き方改革」の経緯をおさらいしていくと、2020年経労委報告が労働者への全面的な攻撃であることがハッキリします。
労働者の分断を指南する厚労省
厚生労働省の「パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書」(https://www.mhlw.go.jp/content/000540732.pdf)というリーフレットでは、p.4 手順に従って「同一労働同一賃金」に引っかからないかチェックするガイドラインを示し、p.15の手順4では、待遇に違いがあった場合不合理でないことが説明できるように、賞与を支払わない理由の説明の仕方や基本給の差が問題ないか検討の仕方を指南しています。正規も非正規も評価によって賃金の格差をつけていくこと、終身雇用制を崩していくのが「働き方改革」目的です。
安倍政権が言う「同一労働・同一賃金」とは、実は評価制度による格差の容認・固定化であり、非正規労働者の劣悪な処遇を改善しようとするものではないということが、具体例を出して明らかにされました。
各職場から評価制度・同一労働同一賃金についての取り組みを報告
<広大生協労組>
昨年、壹貫田委員長が労働者代表となり、資格手当の改定を阻止した。根底にあったのは一部の人だけ優遇されることへの怒り。要するにエコヒイキは許せないと多くの労働者が考えている。労働組合がその先頭に立って闘うことが重要だと感じた。これまで広大生協の正規職の賃金は年功級1本に役職手当という体型だったが、職能給が導入されようとしている。嘱託職員も正規の賃金の30~70%という待遇が、「同一労働同一賃金への対応」ということで50~100%にしようとしている。しかし、多くの労働者は「100%になるのは役員のお気に入りだけ、どうせエコヒイキするんでしょ」と思っている。嘱託職員の賃金はこれまでも不明瞭で、同じように働いていても特定の人だけ手当がついていたりしていることを問題にして闘っている。
<草津病院支部>
評価制度についての裁判で勝利、裁判で勝利が確定したので損害賠償支払いをかちとった。2段階引き下げ今は運用していないが、3月末で規定から削除することもかちとった。真保支部書記長の退職金(時効5年)の減額も支払わせる。評価制度との闘いに圧倒的に勝利している。団交では、裁判所が間違っていて病院の方が正しいと言っている、だから謝らない
働き方改革のなかで評価制度との闘いをとらえかえして、敵の攻撃がわかりにくいが、経労委が言っていることが本質だと思う。日本型雇用システムの見直し、つまり自動更新の正社員という制度を変える、1年ごとに評価して解雇も自由にできる、労働者を団結させずに経営者の意思を貫徹しようとしているではないか。
草津の評価制度はなんだったか改めて考えてみると、評価賃金で辞めさせる、仕事ができるかどうかでなく資本に対する態度で労働者をふるいにかける制度だった。今年の春闘の最大の課題として評価制度との闘い方を組合で討議していきたい。
<推進機構支部>
非正規職には、無期転換になっている嘱託、なっていない嘱託、パート、臨時、再雇用の嘱託と色々な人たちがいる。同一労働同一賃金への対応で、無期転換の嘱託だけに定期昇給・諸手当・退職金をつけようとしている。正規職員への転換については、すべての課に異動することが条件になり、逆に移動したくない人は正規から嘱託になれという。今まで正規職員に導入されていた評価制度を嘱託職員の無期の人にも、これが職場的には大きな問題だ。頑張って働いたら賃金が多いのはあたりまえではという意見があるし、パソコンできない50代に対する若い人の考え方もある。
<郵政支部>
評価制度そのものが問題という立場でスキル評価反対の労働委員会闘争を全国各地で闘ってきた。目標を出させて達成できたかどうかを書かせる、主任つまり組合員が第一評価者、これが不当労だと訴えた。年功賃金だったのをJP労組が「働くものが報われる制度に」と裏切ってきた。宇品では、評価をめぐってのあらそっている。D評価で2000円くらい下がるが退職までだと相当な金額になる。当局は客観的に判断したまでだというが、これまでと同じように働いてきたのになぜ?豪雨災害のとき宇品は豪雨の中配達に、帰ったら管理職はもういない、それに怒ってユニオンのビラを配ったことでD評価にされた。また、非正規職だと評価で賃金が下がったら生きていけない、辞めざるをえない。
評価制度をめぐって討論が白熱
討論では、評価制度をめぐって白熱した意見のやりとりがありました。同じ仲間として働くために、どうしたら団結できるかを第一にとたたかいをつくっていきたい。職場での闘いは具体的だが「みんなが生きられる社会をつくろう」と労働者をひとつにするスローガンもいる。具体的に職場でどう労働組合として闘うかということをもっと学習していきましょう。
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